松江の新家

「それでも?」

それでも。この理を打ち立てたのは私でなくて、我が先祖という事でもこの理が組み立てた軛からは未だ逃れられない。少なくとも私の世代では。しかし諦観しているわけでもない。だが怨んでも憎んでもいない。何故かなんて言わなくてもわかりきった事だ。この空間を私は気に入っている。理が普遍として働くこの空間を。

「だから手を打つ。先に」

そう。普遍でなければならないから。特別であってはならない。