Mezzo Trio Frontier

ここから4年だと、中央導管のへこみへ指先を置いて彼はいった。
「だいたいだけど。へこんでない房も戻ってきてるから」
ほら、と置いている指を見るように合図をよこす。
私は素直に合図に従って視線をやった。導管の銀被膜にうつりこんでいる彼の指の影が瞬き、指が光に貫かれているように見える。やがて空間そのものの折り目がそうみえていることに気付くまでじっとながめ続けていた。