非虚的空洞
「エ〜レガント?」
「まず通じないねそれは」
「だめかしら」
「だめだな」
数メートル周囲で炸裂音が鳴りやまない中で平然と会話するのは赤と黒それぞれ一色のTシャツをなぜか絶縁スーツの上に着た人間二人。
「じゃあ私はわからないよ。後は頼んだ八号」
「八号って…俺か!?俺八号!?」
「そう」
ひときわ大きな炸裂音とともに周囲に爆炎が吹き上げた。
「ところで、ここでひとつ、無駄無駄無駄無駄ァ!とか言ってみない?」
「嫌」
「つまらんなぁ…人のことは八号とかよんだくせに。それにしてもよく飽きないなぁ」
「狩猟民族だからじゃない?」
「違うと思うよ…」
「少なくとも障壁と結界の違いがろくにわかってないのは確かじゃないかな」
「そら界を結ぶ式なんてあちらさんにはなじみがないんだから」
今度は周囲が激しい光の乱舞に見舞われる。万華鏡に強い光を通したかのように光が拡がるが、それも界の外。
「おお、連続発振の高出力レーザー。形成場がないからこれ化学発振レーザーか」
「アレじゃない?」
「…AL-1Aかよ…」